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2014.11.22 (Sat)

薄刃包丁の修理

(Akiko)

ネットを検索して、という神奈川県の方から包丁の修理依頼を受けました。
メールで見積返答した翌日に、たままた大阪へお越しになる用事があるとのことで
研ぎ・修理担当の夫が在店する時間帯に合わせてご来店いただきました。

今回、当店を初めてご利用いただく方です。

■持ち込まれたのはこちらの包丁、柄が折れた薄刃包丁です。
菜切り包丁 修理前1


所見で、
ハガネ(物を切るための鋼材)が残り少ない事や、
刃の裏から立てて研いでおられるので、状態がよくない事などを
和包丁の構造についての話も含めて(研ぎ・修理担当の夫が)説明しました。

■刃の裏の状態(修理前)
菜切り包丁 修理前5


まずは刃に砥石をあててハガネの状態を確認し、
修理する価値がなければそのままご返却させていただくということで
お預かりしました。

=====
和包丁は刃の表側が軟鉄(軟らかい材質)で、
裏側がハガネ(硬い材質)です。
形が残っていてもハガネが無くなると物が切れません。

  参考:包丁の構造(断面図) のページにある
      「霞(かすみ)」が今回お預かりした包丁の構造です。

今回、ハガネの有無を確認したところ、何とか残っている部分と
薄くてほんの少ししか残っていないところがありました。

本来なら刃の裏の型直しも必要ですが、型を直すと少ないハガネが無くなってしまします。

=====
「包丁を修理する価値があるかどうか」については、微妙な時があります。
まさしく今回はそのような状態で、メールだけの対応であれば、
「修理せずご返却」 と言う事になったかも知れません。
しかし、直接お目にかかって、

 「母の使い慣れた包丁で、柄が無い状態で使っていたので、
 何とか柄をつけていただくだけでも・・・」

と、お客様のご要望(細かなニュアンス)を事前に伺っていたので、

今回は、柄の取り付け(有料)と、出来る限りの刃付け仕上げ(無料)を
させていただく(刃の型直しは行わない)と
いうことで作業を進めさせていただきました。

ご依頼いただいた方は神奈川県在住、
包丁の持ち主は宮城県在住の方です。

 「母は84歳で腰も曲がっていますが、
  95歳の父の健康を考え一生懸命毎食調理しており、
  慣れた包丁なので、柄の折れた状態で使っていました。」

とのこと。
修理した包丁をお母様のもとへお送りしたあと、
次のようなメールをいただきました。

=====
先日はご連絡と、修理頂いた包丁を仙台にお送り頂き、有難うございました。

ご連絡通り、日曜夕方に届いたようです。

電話で母と話しましたが、

 「新品が来たのかと思い驚いた。
  ピカピカで、スーッスーッと切れて、
  本当に気持ちが良い、
  自分の指を切らないように気を付けないと(^^)」

と、本当に嬉しそうでした。

最初のメール問い合わせの事から、たまたま大阪での用事の際に、
車で大阪のお店まで伺ってご相談した事など
全部説明すると、大変感激しておりました。

ネットで検索して発見できたことと、それに相談に乗って頂き、
臨機応変に対処頂いたそのご対応に心から感謝致します。

私自身も、今回の件で包丁について初めて知る事が沢山有り、大変勉強になりました。

本当に有難うございました。

また何かありましたら宜しくお願い致します。

■菜切り包丁(修理後)
包丁(秀綱)


=====
私の祖母は父方も母方も90才を超える長寿でした。
祖父母が徐々に老いていく姿や
老齢の人にとっては、どのようなことが日々の生きがい、張り合いなのかを
ずーっと、間近で見てきました。(個人差はあると思いますが・・・)
私の祖母も
「新しい道具より使い慣れたものの方が良い」 という人でした。

今回、84歳のお母様の日常の道具のお手入れをさせていただけたことを
私たちもとても嬉しく思いました。
13:38  |  刃物研ぎ・修理
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